AI時代に「選ばれる薬剤師」になるために、今考えてほしいこと
「薬剤師はAIに仕事を奪われる」
そんな言葉を耳にして、不安を感じたことはないでしょうか。
これから薬剤師を目指す人、あるいは新人薬剤師として
「自分はどんな薬剤師を目指せばいいのか」
「将来、価値のある薬剤師でいられるのか」
と悩んでいる方も多いと思います。
結論から言えば、薬剤師という職業がなくなることはありません。
しかし、すべての薬剤師が同じように必要とされ続ける時代ではなくなることは確かです。
本記事では、
AIの進化、文部科学省が示す「薬剤師の資質」、そして現場の視点を踏まえながら、
これからの時代に新人薬剤師が目指すべき姿について考えてみます。
AIは薬剤師の「敵」ではない

まず知っておいてほしいのは、
AIは薬剤師の仕事を“丸ごと”奪う存在ではない、ということです。
AIが得意なのは、
- 処方チェックや相互作用検索
- 添付文書やガイドラインの検索
- 大量データの整理・要約
といった定型的・再現性の高い作業です。

ガイドラインが全て頭に入っている薬剤師がすごいのではなく、ガイドラインを調べ理解し皆にフィードバックできることが求められます。私はNotebook LMを愛用しています。
一方でAIが苦手なのは、
- 患者の背景を踏まえた判断
- 医師や看護師との調整
- 患者や家族との信頼関係構築
- 最終的な責任を伴う意思決定
つまり、
AIは薬剤師を置き換える存在ではなく、支援する道具です。
薬剤師の価値は「知っている量」から「どう使うか」へ
これまでの薬剤師は、
「知識があること」自体が強みになりやすい職種でした。
しかしAI時代では、
- 調べる
- 覚える
- 一覧化する
といった作業は、AIの方が速く、正確です。
その結果、薬剤師に求められる価値は
知識量そのものではなく、解釈力・判断力・応用力へと移行します。
- この患者にとって、本当に安全か
- この治療方針は、現実的か
- 医師の意図をどう補完できるか
こうした問いに答えられる薬剤師こそ、
AI時代に「選ばれる薬剤師」です。
文部科学省が示す「薬剤師の資質」は、実はAI時代を先取りしている
文部科学省が示す薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂)薬剤師の10の資質を見てみると、
AI時代に重要になる要素がすでに多く含まれています。
1.プロフェッショナリズム
2.総合的に患者・生活者をみる姿勢
3.生涯にわたって共に学ぶ姿勢
4.科学的探究
5.専門知識に基づいた問題解決能力
6.情報・科学技術を活かす能力
7.薬物治療の実践的能力
8.コミュニケーション能力
9.多職種連携能力
10.社会における医療の役割の理解
特に重要性が高まるのは、
- 患者中心の視点
- コミュニケーション能力
- チーム医療への参画
- 総合的な薬物療法の評価と実践能力
- 自己研鑽
これらは共通して、
**「人と関わり、判断し、責任を持つ能力」**です。
逆に言えば、
単に「言われたことを確認するだけ」「マニュアル通りに動くだけ」の薬剤師は、
AIと役割が重なりやすくなります。
新人薬剤師が最初から目指すべき姿
新人のうちから、
「専門薬剤師にならなければ」「研究をしなければ」
と焦る必要はありません。
それよりも大切なのは、次の3つです。
① 患者を“背景ごと”見る習慣をつける
検査値だけでなく、生活、理解度、不安、家族背景まで含めて考える姿勢。
② 医師・看護師と対話する勇気を持つ
完璧な知識がなくても、
「なぜこの処方なのか」を聞き、考えることが成長につながります。
③ 学び続ける姿勢を手放さない
AIがあるから勉強しなくていい、ではありません。
AIを正しく使うために、基礎力はますます重要になります。
「どんな薬剤師になりたいか」は途中で変わっていい
これから薬剤師を目指す人、新人薬剤師に伝えたいのは、
最初から完成形を決める必要はない
ということです。
- 病棟で患者と向き合う薬剤師
- 感染対策やICTで活躍する薬剤師
- 地域で患者を支える薬剤師
- 教育や育成に関わる薬剤師
どの道にも価値があります。
重要なのは、
「AIにできない部分で、誰かの役に立っているか」
を常に問い続けることです。
まとめ:AI時代の薬剤師は「人間力」が武器になる
- AIは薬剤師の仕事を奪う存在ではない
- 定型業務は減り、判断・対人・責任の比重が増す
- 薬剤師の価値は「知識量」から「解釈力・提案力」へ
- 新人のうちから“人と向き合う姿勢”を大切にしてほしい
薬剤師は、
人の命と健康に直接関わる専門職です。
AIがどれだけ進化しても、
その責任を引き受け、最終的に判断するのは人間です。
だからこそ、
これから薬剤師を目指すあなたには、
AIを恐れず、使いこなし、人に寄り添える薬剤師になってほしいと思います。

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