感染対策向上加算3|施設基準ごとに整理する適時調査での注意点

感染制御認定薬剤師

―ICT薬剤師として準備・確認したこと―

感染対策向上加算3を算定している医療機関では、地方厚生(支)局による適時調査で、施設基準を満たしているかどうかを実運用ベースで確認されます。
本記事では、実際の調査対応を踏まえ、施設基準ごとにICT薬剤師(感染制御認定薬剤師が解説)が注意すべきポイントを整理します。


当院は先日地方厚生局より監査をうけました。私自身ICTの薬剤師と担当するようになり2回目の監査立ち合いとなりました。加算要件や体制などは事務方にまかせっきりの部分もありますが、これからのICT薬剤師はこれらすべてに目を向けていかなければいけないと思います。

まずは、事前に準備しておくものリストが届きましたので確認していきます。

1)感染対策防止対策部門の設置及び組織上の位置づけが確認できる書類(組織図や設置要綱等)

2)感染制御チームを構成する者の出勤簿(直近一か月)

3)感染防止対策部門の業務指針及び院内感染管理者又は感染制御チームの具体的な業務内容が明記された書類

4)標準予防策の内容を盛り込んだ手順書(マニュアル)

5)感染制御チームによる職員を対象とした院内感染対策に関する研修の実施状況が確認できる書類

6)感染対策向上加算1に係る届け出を行った保健医療機関と合同で行った院内感染対策に関するカンファレンスの記録(本年度分及び前年度分)

7)感染制御チームが、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うとともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行っていることが確認できる書類(直近2か月)

【サーベイランス強化加算を届け出ている場合】
地域や全国のサーベイランスに参加していることが確認できる書類

【連携強化加算を届け出ている場合】
連携先の保険医療機関に対し感染症の発生状況等について報告を行っていることがわかる書類(直近1年分)

【抗菌薬適正使用体制加算を届け出ている場合】
Access抗菌薬に分類されているものの使用比率がわかる書類(直近6か月)

① 院内感染管理者の要件

施設基準

  • 院内感染管理者は感染対策チーム内部から選出
  • 常勤職員であること

注意点(ICT薬剤師の視点)

  • 感染管理者が「名目上」ではなく、ICT構成員として明確に位置付けられているか
  • 辞令・委嘱状・名簿で
    • 氏名
    • 職種
    • 常勤であること
      が確認できるか

👉 異動後の更新漏れが非常に多いポイント。
最新名簿との整合性は必ず確認。


② 専任の医師・看護師の配置(向上加算3)

施設基準

  • 専任の医師・看護師が配置されていること
  • 勤務状況を確認される

注意点

  • 勤務表や職務内容で
    • 感染対策業務に継続的に関与していること
      を説明できる資料を準備

📌 ICT薬剤師としては
→ 上記職種がICT会議・ラウンドへの参加実績を資料で補強すると説得力が増す。


③ 感染対策マニュアルの整備状況

施設基準

  • マニュアルが整備され、以下が記載されていること
    • 業務指針
    • 抗菌薬適正使用に関する項目
    • 最新のICT名簿

注意点

  • マニュアルが
    • 古い
    • PDF更新日が数年前になっていないか

👉マニュアルは毎年更新することが大事


④ 職員研修(年2回以上)

施設基準

  • 職員対象の感染対策研修を年2回以上実施
  • 記録の提示が必要
  • 参加率なども見られる

注意点

  • 研修資料+出席者名簿が揃っているか
  • 開催日・テーマが明確か

📌 ICT薬剤師の関与例として有効だった内容

  • 抗菌薬適正使用
  • AMR対策
  • 消毒薬の適正使用

👉 「誰が講師をしたか」も見られるため、
薬剤師の関与が分かる資料を残しておく。


⑤ 加算1施設とのカンファレンス・新興感染症対応

施設基準

  • 加算1算定施設とのカンファレンス:年4回
  • 新興感染症を想定した訓練の実施記録

提示した資料

  • カンファレンス議事録(4回分)
  • 新興感染症対応訓練の記録

実施した訓練内容

  • N95マスクのフィットテスト
  • アルコール消毒の効果を定量的に評価する研修

👉 具体的な内容が書かれていると評価されやすい
👉 「新興感染症を想定している」ことが重要(今回は詳しい内容までは確認されませんでした)


⑥ 院内ラウンドの記録

施設基準

  • ICTによる院内ラウンドの実施

注意点

  • 実施日・場所・参加者が明確か(今回は参加者・欠席者を中心に確認されました)
  • 指摘事項と対応内容が記載されているか

⑦ 院内感染対策の取り組みの掲示

施設基準

  • 院内感染対策に関する啓発・周知

実地で重要だった点

  • 具体的な活動内容を見やすい場所に、大きく掲示しておくこと(複数あると良い)

例:

  • ICT活動内容
  • 手指衛生キャンペーン
  • 抗菌薬適正使用の取り組み

👉 「やっています」ではなく
👉 目に見える形が重要。


⑧ サーベイランス強化加算(J-SIPHE/JANIS)

確認内容

  • J-SIPHE又はJANISへの加入

実際の対応

  • 施設情報登録・修正画面のコピーを提示
  • 病院名が記載されていれば十分

👉 詳細な入力内容までは確認されなかった
👉 加入していることの証明がポイント。


⑨ 連携強化加算

施設基準

  • 年4回以上の連携実績
  • 連携方法が分かる資料

提示したもの

  • 4・7・10・1月(例)に提出しているという取り決めの文書
  • メール画面のコピー

👉 形式は問われず
👉 継続的に連携していることが分かればOK
👉いつ、どのように連携していたか

当院では、抗菌薬の使用量などではなく加算1病院との取り決めで「広域抗菌薬使用時の培養提出状況」を調査し報告しました


⑩ 抗菌薬適正使用加算について

  • 当院では Access抗菌薬の使用割合が低く抗菌薬適正使用加算は算定していない

まとめ|ICT薬剤師が意識すべきこと

  • 施設基準は「書類」ではなく運用で確認される
  • ICT薬剤師は
    • 抗菌薬
    • サーベイランス
    • 教育
      の説明役になる場面が多い
  • 日常業務の記録が、最大の適時調査対策になる

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