【感染制御認定薬剤師が解説】風邪はウイルス感染!抗菌薬はいらない?正しい風邪薬の選び方

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感染制御認定薬剤師が風邪とウイルス感染の違い、抗菌薬が不要な理由、年齢別の注意点、市販薬の選び方を解説。症状別のおすすめ成分も紹介します。


はじめに:風邪は「ウイルス感染」がほとんどです

「風邪をひいたら抗生物質を飲めば早く治る」——
この考え、実は誤解です。

風邪の原因の80~90%以上はウイルス感染によるもの。
代表的なのは、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなどです。

抗菌薬(抗生物質)は細菌にしか効かないため、ウイルス性の風邪には効果がありません。
むしろ、不必要な抗菌薬の使用は耐性菌の増加や腸内環境の乱れを招くおそれがあります。


抗菌薬が必要になる場合とは?

多くの風邪は自然に治りますが、次のような場合は細菌感染が関係している可能性があります。

  • 乳幼児:免疫が未発達で、中耳炎や肺炎を起こしやすい
  • 高齢者:免疫力が低下し、細菌感染を併発しやすい
  • 基礎疾患がある方(糖尿病、慢性呼吸器疾患など):重症化のリスクあり

黄色い痰や鼻水は細菌感染のサインであることが多いです。このようなケースでは、医師が症状や検査結果をもとに抗菌薬を使用する判断を行います。


風邪薬=症状を和らげる薬

風邪薬は原因を治す薬ではなく、症状を緩和する薬です。
自分の体の免疫がウイルスと戦っている間、つらい症状をやわらげるために使用します。

IWAKI
IWAKI

風邪薬は症状を抑え、食事と睡眠をしっかりとるために使います。


症状別の市販薬の選び方と成分解説

🔹発熱・頭痛には「アセトアミノフェン」

解熱鎮痛薬として安全性が高く、インフルエンザでも使えるのがポイント。
(※一方で、ロキソプロフェンイブプロフェンはインフルエンザ時に脳症のリスクが指摘されており、注意が必要です。)

成分名特徴注意点
アセトアミノフェン熱や痛みに穏やかに効く、安全性が高い(抗炎症作用はありません)過量摂取に注意(肝障害)
ロキソプロフェン・イブプロフェン効果が強いがインフルエンザ時は避ける(解熱・鎮痛・抗炎症作用)胃障害・腎障害リスクあり

🔹のどが痛いときは「トラネキサム酸」

トラネキサム酸は炎症や痛みを抑える作用があり、のどの痛みや腫れに効果的です。
多くの市販総合感冒薬にも配合されています。


🔹咳が出るときは「鎮咳成分」をチェック

咳止めには、咳の中枢や末梢を抑える成分が使われています。

成分名特徴
ジメモルファンリン酸塩中枢性の咳をやわらげる(穏やか)
デキストロメトルファン多くの市販薬に配合。鎮咳効果が中等度
コデインリン酸塩医療用で使われることが多く、咳を強力に抑えるが眠気や便秘に注意

咳止めは「咳を完全に止める」のではなく、寝られないほどつらい時に使うのがポイントです。
痰が多いときは「去痰薬(カルボシステイン、アンブロキソール)」の方が適しています。


🔹鼻水・鼻づまりには「抗ヒスタミン薬」、「ロイコトリエン拮抗薬」

鼻水・鼻づまりにはアレルギー反応を抑える成分が有効です。

成分特徴
ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンくしゃみ・鼻水を抑える(眠気あり)
モンテルカスト、プランルカスト鼻づまりを改善、眠気少ない(医療用)

市販薬を選ぶときは、症状に合った成分が入っているかを確認しましょう。
「総合感冒薬」は多くの成分が混ざっているため、必要な症状だけに効くタイプを選ぶのも大切です。

IWAKI
IWAKI

抗ヒスタミン薬は眠気が出易いので、日中服用するとパフォーマンスが低下する場合があるよ。中には眠くなりにくい成分(フェキソフェナジンなど)もあるので薬剤師に相談してみよう。


疾患のある方は要注意!飲めない風邪薬(禁忌・注意薬)

持病のある方は、風邪薬に含まれる成分で症状が悪化することがあります。

疾患注意が必要な成分理由
高血圧・心臓病(プソイド)エフェドリン、麻黄血圧上昇、動悸を起こす可能性
緑内障抗ヒスタミン薬眼圧上昇のリスク
前立腺肥大症抗ヒスタミン薬排尿困難の悪化
肝障害アセトアミノフェン肝機能に負担
喘息NSAIDs(ロキソプロフェンなど)アスピリン喘息の誘発

病気をお持ちの方は、購入前に薬剤師に相談するのがおすすめです。


風邪を早く治すために大切なこと

薬だけでなく、次のようなケアも重要です👇

  • しっかり休む(睡眠は免疫力の味方)
  • こまめに水分補給(喉の乾燥防止・発熱時の脱水対策)
  • バランスの取れた食事(タンパク質・ビタミンCを意識)
  • 加湿・うがいで喉を守る
  • ショウガはちみつを摂る

まとめ:風邪は“ウイルス感染”、抗菌薬はいらない

ポイント内容
風邪の原因ほとんどがウイルス感染
抗菌薬細菌感染時のみ必要
症状別対処熱→アセトアミノフェン、のど→トラネキサム酸、咳→鎮咳成分
市販薬選び症状に合った成分を確認
禁忌薬高血圧・緑内障・前立腺肥大症などは注意

感染制御認定薬剤師としてお伝えしたいのは、
薬は原因と症状に合わせて正しく選ぶことが大切」ということ。決して抗菌薬を使わないで!ということではなく、乳幼児高齢者肺炎では細菌感染の可能性が高いため我慢せず早めにお医者さんに相談しましょう。

受診が難しい場合はドラックストアの薬剤師に相談してみましょう。

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