【現場レポート】学校薬剤師の仕事とは?~プールの採水検査を深掘り!

学校薬剤師

こんにちは!薬剤師としてさまざまな現場を経験してきた私ですが、今回は「学校薬剤師」のお仕事について紹介したいと思います。特にこの季節になると気になるのが「プール水の衛生管理」。この記事では、学校薬剤師の基本的な業務と、プール水の採水・検査について詳しくお話しします!

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🏫 学校薬剤師って何をするの?

学校薬剤師は、学校保健安全法に基づいて、児童・生徒の健康と安全を守るために活動する専門職です。地域の薬剤師会から推薦を受けて、各学校に配置されることが多いです。

主な業務内容:

  • 学校環境衛生のチェック(照度・騒音・換気・温湿度など)
  • 水質検査(飲料水・プール水)
  • 教室やトイレの衛生状態確認
  • 保健室や薬品管理のアドバイス
  • 生徒・保護者・教職員への薬物乱用防止教育
  • 学校での感染症対策に関する助言
  • オーバードーズについての指導や助言

年間を通して定期的に学校を訪問し、報告書を作成するのが一般的です。

🏊‍♂️ プールの採水検査とは?

夏が近づくと本格化するのが「プール水の水質検査」。これは学校薬剤師の重要な仕事の一つです。安心して水泳指導を行うためには、適切な水質管理が欠かせません。

プール水検査でチェックする主な項目:

項目基準値検査目的
濁度2度以下不純物混入の確認
一般細菌200個/mL以下微生物汚染の確認
大腸菌群検出されないこと衛生指標菌の有無
遊離残留塩素0.4~1.0mg/L塩素の有効性確認
pH(ペーハー)5.8~8.6肌・目への刺激を避けるため
過マンガン酸カリウム消費量12mg/L以下有機物の混入
総トリハロメタン濃度0.2mg/L以下主にクロロホルムの検出
循環ろ過装置の処理水の濁度0.5度以下(0.1度以下が望ましい)ろ過の性能を確認

🧪 採水の手順とコツ(地区によって異なります)

採水の流れ:

  1. 準備物の確認:
    滅菌容器(大腸菌検査用)、検査試薬、pH試験紙、記録用紙、手袋など
  2. 採水タイミング:
    使用前(朝)に実施、プール中央表層から採取(水面下20cm ろ過水の出口から遠いほうへ3点+取水口付近の計4点を採水)
  3. 検査方法:
    – 残留塩素:色の変化で確認
    – pH:試験紙やメーターで測定
    – 細菌:検体を専門機関へ送付(保冷)

遊離残留塩素は0.4~1.0mg/Lとされておりこれはほとんど全て(大腸菌、一般細菌、アデノウイルス)を不活化できる濃度となっています。但し、1.0mg/Lを超える目の痛みが出ることがあり適切の管理されなければなりません。

📋 報告書の作成と対応

検査結果は記録し、学校長宛に「学校薬剤師環境衛生検査報告書」として提出します。不適合項目がある場合は、速やかに改善指導を行います。

IWAKIの所属地区では水質検査センターに採水した容器を提出します。検査結果に問題がなければ後日結果が送付されます。現場で実際薬剤師が確認することは「残留塩素」、「消毒用試薬の確認」、「プールサイドの安全」、「その他衛生面」です。不適項目があればその場で指摘し、水質の検査結果に問題があれば水質検査センターより薬剤師会に連絡があり各学校薬剤師へ連絡します。

よくある指導内容:

  • 塩素注入装置の点検・調整
  • 清掃やろ過装置の稼働時間の見直し
  • プールカバーの使用促進
  • 残留塩素濃度の調節

💡 まとめ:子どもたちの安全を支えるプロの仕事

「学校薬剤師」はまだあまり知られていない存在かもしれませんが、学校現場に欠かせない健康管理の専門職です。特に夏場のプール管理は、感染症予防に直結する重要な業務です。

専門知識と観察力、そして細やかな対応力が求められる現場ですが、子どもたちが安全に学校生活を送るために、薬剤師として力を発揮できるやりがいある仕事でもあります。


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