薬剤師として生きるあなたに、いま一度問いかけたい。
「自分はどんな薬剤師として、人生を歩んでいくのか?」
薬剤師の養成制度が6年制になり、私たちはより深く、より実践的に臨床に向き合う教育を受けられるようになった。私たちの先輩世代では任意だった実務実習が、私たちの代からは 保険調剤薬局実習2週間+病院実習2週間、もしくは 病院実習4週間 が必須に。現在では、さらに発展し、11週間の薬局実習+11週間の病院実習が基本になっている。希望者には追加で8週間の実習延長も議論されており、実務重視の育成がますます進んでいる。
ジェネラリストか?スペシャリストか?
薬剤師は、あらゆる領域を広くカバーするジェネラリストであるべきか。
それとも、ある分野を深く掘り下げるスペシャリストであるべきか。
意見は分かれるが、私は後者を選んだ。
感染症領域のスペシャリスト(自称)として、まず「基礎」を徹底的に鍛え、そこから得意分野を伸ばすという戦略をとった。その中で出会ったのが「認定薬剤師」という武器だ。
「勉強さえすれば資格なんていらないのでは?」という声もあるだろう。確かに、知識だけであれば独学でも手に入る。だが、資格という“かたち”があることで、周囲を動かす説得力が生まれる。
認定取得には「手間」「時間」「お金」がかかる。だが、それ以上に得られるものも大きい。あなたのライフプランにその資格が必要なのか、本気で考えてほしい。
感染症に向き合った原点
私が感染症関連の認定を目指すきっかけになったのは、「院内での抗菌薬の使われ方」に疑問を持ったことだった。
添付文書通りの使用では限界がある。最新のガイドラインに基づいた適切な抗菌薬選択を提案できる薬剤師になりたい。そう思い、「認定資格」という名刺を手に入れ、感染委員会に加入し、今では感染制御認定薬剤師として、医局会で耐性菌の動向や抗菌薬使用状況を報告できる立場になった。
現場から直接、抗菌薬の相談を受けることもある。これは認定資格という“肩書”がもたらした信頼の証だ。
資格を取る「タイミング」を見極めよ
資格取得のタイミングについて、私は次のような道を歩んできた。
- 20代後半:NST専門療法士 取得
- 30代半ば:化学療法認定薬剤師 取得
- 30代後半:感染制御認定薬剤師 取得
この頃、家庭も仕事も忙しくなり、県・市の薬剤師会の委員や理事も兼任していた。仕事とプライベートの両立に悩みながらも、必死に勉強時間を捻出したのを覚えている。
薬剤師は6年制となり、24歳で就職すると、実務経験5年で認定資格を目指せる。つまり30歳前後で初の資格取得のチャンスがくる。だが、ちょうどこのタイミングで結婚・出産など、人生の転機を迎える人も多い。
だからこそ考えてほしい。
「自分はいつ、どこで、何に力を入れるのか」
漫然と生きていては、時間はあっという間に過ぎてしまう。
私のように「その場のノリ」で生きていると、あとで大変な思いをするかもしれない。
あなたの人生設計に「戦略」を
未来は確かに予測できない。
だが、それを理由に人生を「なるようになるさ」と流していいわけではない。
薬剤師としてのキャリア、家庭とのバランス、将来への投資。
これらを結びつけるのがライフプランであり、資格やキャリアの「選択」だ。
自分はどんな薬剤師になりたいのか。どんな人生を歩みたいのか。
情熱と戦略を持って、一歩踏み出してほしい。
その一歩が、未来の自分を大きく変えていく。
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