高級機械式時計の世界で、オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)は常に特別な存在として語られます。その中でも「ロイヤルオーク」は、腕時計の歴史を変えたと言っても過言ではない名作。1972年に誕生したこのモデルは、ステンレススチール製スポーツウォッチに“ラグジュアリー”という概念を持ち込んだ先駆けであり、今なお世界中の時計愛好家から熱狂的な支持を集めています。
この記事では、オーデマ ピゲというブランドの希少性と、ロイヤルオークを中心としたデザインの魅力に迫ります。
オーデマ ピゲとは? 世界三大時計ブランドのひとつ
オーデマ ピゲは、スイスの高級時計ブランド「世界三大時計」の一角を担う名門。残りの2つはパテック・フィリップとヴァシュロン・コンスタンタンです。創業は1875年、スイスのジュウ渓谷。創業以来一度も買収されることなく、今も家族経営を守り続けています。
■希少性の高さ:年間生産はわずか40,000本前後
ロレックスが年間100万本以上を製造するのに対し、オーデマ ピゲの年間生産数は約4万本。さらにロイヤルオークシリーズに絞れば、その中のごく一部です。街中でロイヤルオークを見かけることがほとんどないのも当然です。
これだけ希少であるにもかかわらず、世界的な需要は年々増加。正規販売店では数年待ち、二次流通市場ではプレミア価格が当たり前という状況です。
ロイヤルオークとは何か?“スポーツウォッチ革命”の旗手
ロイヤルオークは、1972年に発表されたステンレス製のラグジュアリースポーツウォッチ。デザイナーはあのジェラルド・ジェンタ。彼は後にパテック・フィリップの「ノーチラス」もデザインしています。
■革新的なデザイン:八角形ベゼルと一体型ブレスレット
ロイヤルオークの最大の特徴は、八角形のベゼルに8本のビス、そしてケースからブレスレットまで滑らかにつながる一体型デザイン。このアイコニックなスタイルは、50年以上経った今もなお色あせず、むしろモダンに映ります。
さらに、グランドタペストリーと呼ばれる文字盤の模様もロイヤルオーク特有。細かく刻まれた市松模様は、光の加減で陰影が変わり、非常に立体的な印象を与えます。
ロイヤル オーク – 15510ST.OO.1320ST.06 – Audemars Piguet

出典:Audemars Piguetホームページより
■薄型ムーブメントが生み出す「軽やかさ」
ロイヤルオークは、外見が大胆な一方で、ムーブメントが非常に薄く設計されている点も特筆すべきポイント。初代ロイヤルオークに搭載されたキャリバー2121は、当時世界最薄の自動巻きムーブメントのひとつでした。
洗練されたディテールと仕上げの美
オーデマ ピゲの時計に触れたとき、誰もが感じるのは仕上げの美しさ。ロイヤルオークのケースやブレスレットは、ヘアライン仕上げとポリッシュ仕上げが絶妙に切り替わることで、立体感と高級感が際立ちます。
■手作業で仕上げられる外装
ロイヤルオークのケースやブレスレットは、すべて熟練した職人による手作業で仕上げられています。その結果、角のエッジはシャープでありながら丸みを帯び、着け心地は非常に滑らか。手首に沿うように設計されたブレスレットは、単なる金属パーツの連なりとは思えないほど自然です。
■隠された複雑機構
スポーティな見た目とは裏腹に、ロイヤルオークにはトゥールビヨンやパーペチュアルカレンダーなど、複雑機構を搭載したモデルも多数存在します。時計愛好家の多くは、こうした“中身とのギャップ”にも惹かれているのです。
ステータスシンボルとしてのロイヤルオーク
オーデマ ピゲのロイヤルオークは、単なる時計ではありません。知る人ぞ知るステータスシンボルであり、ファッションやカルチャーにも影響を与えています。
■世界中のセレブやアーティストが愛用
俳優のブラッド・ピット、サッカー選手のリオネル・メッシ、ラッパーのジェイ・Zなど、ロイヤルオークを愛用する著名人は枚挙にいとまがありません。特に音楽業界やスポーツ界では、ロレックスよりもロイヤルオークを選ぶ人も増えてきています。
これは「目立ちすぎず、でも本物を知っている人には伝わる」——そんな絶妙なバランスが、多くの人を惹きつけてやまない理由かもしれません。
ロイヤルオークの人気モデル紹介
ここでは、ロイヤルオークの中でも人気のあるモデルをいくつかご紹介します。
- ロイヤルオーク 15500ST(41mm 自動巻き)
シンプルな3針+デイト。完成度の高い万能モデル。グレー、ブルー、ブラックなど文字盤の色も豊富。 - ロイヤルオーク クロノグラフ(26331STなど)
スポーティさを前面に出したモデルで、文字盤のカラーバリエーションも多彩。 - ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー
永久カレンダーを搭載しながら、厚さわずか9.5mmという驚異の薄型設計。 - ロイヤルオーク トゥールビヨン
超複雑機構を搭載しつつ、スタイリッシュさを保つハイエンドモデル。
まとめ:ロイヤルオークは“知性ある贅沢”の象徴
ロイヤルオークは、豪華さを誇る時計ではなく、洗練された美しさと機械的精緻さが共存する“知的なラグジュアリー”。大量生産されず、簡単に手に入らず、それでも多くの人が憧れる理由はそこにあります。
ロレックスが「信頼の実用時計」だとすれば、ロイヤルオークは「美学と哲学を備えた芸術品」。その希少性とデザインの完成度の高さは、一度触れてしまえば簡単には忘れられない魅力を放ちます。
あなたも、いつか自分のロイヤルオークを手に取った瞬間、その魅力の深さに気づくはずです。
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