【感染制御認定薬剤師とは?】これから薬剤師を目指すあなたへ ― 感染症と向き合うプロの仕事
こんにちは。
今回は「感染制御認定薬剤師(Board Certified Pharmacist in Infection Control ( PIC )」について、これから薬剤師を目指す学生さんや、新任の薬剤師の方に向けてご紹介します。
「病院薬剤師って、調剤以外に何してるの?」
そんな疑問の答えになるのが、まさにこの分野かもしれません。
■ 感染制御認定薬剤師ってどんな資格?
感染制御認定薬剤師とは、感染症に関する専門知識を持ち、病院や施設などで感染症対策の実務に深く関わる薬剤師のことです。
日本病院薬剤師会による認定制度で、いわば「感染のプロ」として医療チームに貢献する役割を担います。
![]() | 薬剤師のための感染制御マニュアル 第5版 [ 一般社団法人 日本病院薬剤師会 ] 価格:7370円 |

■ 実際にはどんな仕事をしているの?
以下のような業務を担います:
- 抗菌薬の適正使用の推進(AST活動)
- 院内感染の予防策の提案・実施
- 感染発生時の対策チームへの参加(ICT)
- 感染症サーベイランス(監視・記録)の実施
- 職員や患者への感染対策の啓発・教育
たとえば、病棟で「この抗菌薬、本当に必要?」という判断を医師と一緒に考えたり、耐性菌の発生を抑える取り組みを行ったり。
単に薬を出すだけではなく、「病院全体の感染を守る」チームの一員として働きます。
実際に私は毎週の環境ラウンドや耐性菌ラウンド(★下記ラウンドブログを参照★)、TDMなどの業務をしています。
■ なぜ今、感染制御が重要なのか?
コロナ禍を経て、感染対策の重要性は一般にも広く知られるようになりました。
また、抗菌薬の乱用による「薬剤耐性菌(AMR)」の増加は、世界的な医療課題です。
こうした背景から、感染制御薬剤師の存在意義はますます高まっています。
![]() | ESBL産生菌・MRSA・MDRP 知って防ぐ!耐性菌 [ 矢野邦夫 ] 価格:1980円 |

■ 資格を取るにはどうすればいいの?
感染制御認定薬剤師を目指すには、次のような条件が求められます:
- 病院での実務経験(一定年数)
- 院内のでの感染制御に従事
- 所定の講習や学会発表、申請手続き
- 感染制御に関わる症例20例の提出
- 試験に合格する
実際に取得までは時間と努力が必要ですが、得られる知識と現場での信頼は大きな武器になります。

■ どんな人に向いている?
以下に当てはまる方には特におすすめです:
- 感染症に興味がある
- チームで働くのが好き
- 医師や看護師と連携して問題解決したい
- 臨床現場で活躍したい
■ 最後に:未来のあなたへ
薬剤師の仕事は「調剤室の中だけ」ではありません。
感染対策、抗菌薬の適正使用、そして患者さんを守るチームの一員として、薬剤師が果たせる役割はとても大きいのです。
感染制御認定薬剤師というキャリアがあることを、ぜひ知っておいてください。
もし興味があれば、早いうちから「感染」というキーワードにアンテナを張ってみてくださいね。
コメント