【現場から伝える】院内感染対策チーム(ICT)の業務と薬剤師の役割とは?

病院薬剤師

こんにちは、IWAKIです。
入職時、「こんなチーム医療に関わってみたい!」と思った方も多いのではないでしょうか?
私自身は感染制御チームに憧れていましたが、1年目にNST(栄養サポートチーム)担当に。医療現場では人員や人事の都合で想定外の配属になることもありますよね。

今回は、感染症のリスクが常にある医療現場で活躍する「院内感染対策チーム(ICT)」と、薬剤師の具体的な役割についてご紹介します。


院内感染対策チーム(ICT)とは?

ICT(Infection Control Team)とは、病院内での感染症発生や拡大を防ぐために構成された多職種チームです。以下の職種が中心となります。

  • 医師(感染症専門医、呼吸器内科医など)
  • 看護師(感染管理認定看護師:ICN)
  • 臨床検査技師
  • 薬剤師
  • リハビリスタッフ
  • 事務職・栄養士(必要に応じて)

主な目的は以下の通りです:

  • 感染対策の標準化
  • 職員教育・研修
  • サーベイランス(感染症の監視)
  • アウトブレイク(院内感染拡大)の対応

ICTの主な業務内容

1. サーベイランス(感染症の監視)

抗菌薬使用状況や検査結果を日々モニタリングし、異常を早期に察知して対応します。

2. ラウンド・現場確認

病棟や処置室をラウンドし、手指衛生・PPEの使用・環境整備などをチェックします。

3. 職員教育・研修

標準予防策・接触予防策など、感染対策に必要な知識の研修を定期的に実施します。

4. アウトブレイク対応

ノロウイルスやMRSAなど集団感染の発生時には、原因究明・拡大防止策を立てて迅速に対応します。


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薬剤師がICTで果たす役割

1. 抗菌薬の適正使用支援(AS)

抗菌薬の用法・用量・選択をモニタリングし、必要に応じて医師に提案します。指定抗菌薬使用届制度や許可制度などの運用に携わります。
感染制御認定薬剤師を目指すなら、症例を集めながら積極的に介入していきましょう。

2. サーベイランスデータの解析

培養結果、感受性、抗菌薬使用量などを分析し、J-SIPHEなどの外部データとも比較しながら医師へフィードバックします。

3. 感染症治療薬の供給・管理

必要薬剤の在庫・物流を調整し、治療に支障が出ないようにします。

現在は抗菌薬の流通が滞りがちでこの業務が一番大変です。

4. ラウンドでの助言

ICTラウンドに参加し、薬剤使用や投与方法、点滴の安定性などを現場でサポートします。

5. 感染対策マニュアルの改訂

抗菌薬適正使用マニュアルや、COVID-19やインフルエンザ治療薬を含む感染対策マニュアルの改訂に関わります。


ICT活動に薬剤師が加わるメリット

  • 耐性菌の発生抑制(抗菌薬使用の適正化)
  • 感染治療の質の向上と副作用リスクの低減
  • チーム医療の質の向上(多職種連携強化)

薬剤師の専門性は、病院全体の医療安全や効率化にも大きく貢献します。


ICTに加入した薬剤師が意識すべきこと

ICTに加入したら、感染制御認定薬剤師を目指すことをおすすめします。

認定には3年以上の感染制御業務経験が必要ですが、症例収集や実績記録の準備は早く始めるに越したことはありません。

・自験例を意識した記録
症例報告につながりそうな事例は、日々の業務から意識的にメモを取りましょう。

・マニュアルや研修会での活動
マニュアルの改訂、職員向けの感染対策研修などで積極的に関与すると、症例実績に繋がります。

認定試験の勉強が始まると時間に余裕がなくなりますので、計画的な準備が鍵になります。


まとめ:薬剤師も感染対策の「主役」

ICTと聞くと、医師や看護師が中心に思われがちですが、薬剤師も欠かせない存在です。

抗菌薬の適正使用支援、感染症治療薬の供給、サーベイランスデータの解析など、薬剤師にしかできない役割があります。

感染対策は「チーム戦」。薬剤師として、専門性を活かしながらICT活動に積極的に関わっていきましょう。

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