感染症領域で活躍する薬剤師が取得を検討する代表的な認定資格が、「感染制御認定薬剤師(日病薬)」と「抗菌化学療法認定薬剤師(日本化学療法学会)」です。
どちらも抗菌薬・感染対策に関する専門性を高める資格ですが、その内容や対象業務、取得の難易度は大きく異なります。
本記事では、両者の違いをわかりやすく比較し、どちらを目指すべきか迷っている方の参考になるようまとめました。
🎓 どちらも感染領域のスペシャリスト
どちらの資格も、感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の中で重要な役割を果たす薬剤師に求められます。
ただし、下記のように資格ごとにフォーカスや役割が異なります。
📊 取得条件の比較表
項目 | 感染制御認定薬剤師 | 抗菌化学療法認定薬剤師 |
---|---|---|
認定団体 | 日本病院薬剤師会 | 日本化学療法学会 |
必要実務経験 | 感染業務3年以上(直近1年継続) | 抗菌薬関連業務5年以上 |
症例報告 | 20件以上(TDM、助言等含む) | 15件以上(介入+考察必須) |
研修単位 | 10単位(20時間以上) | 60単位(セミナー等) |
試験 | 筆記試験あり | 筆記試験あり(50問) |
費用(初回目安) | 約10万~15万円(5年間総額) | 約9万~11万円(5年総額) |
更新期間 | 5年ごと | 5年ごと |
更新要件 | 単位30単位+症例10件+発表1件 | 単位60+業務継続 |
必要資格 | 病院薬学認定薬剤師(又は医療薬学会の専門薬剤師) | なし |
追加で加入が必要な学会 | 日本医療薬学会 ● 日本薬学会 ● 日本臨床薬理学会 ● 日本TDM学会 ● ICD制度協議会に加盟している学会・研究会 | なし |
📌 それぞれの資格の特徴と強み
🔷 感染制御認定薬剤師
- 感染対策チーム(ICT)活動に関わる薬剤師向け
- チーム医療や院内マネジメントに関心がある人におすすめ
- 更新時には症例・学会発表など、幅広い実績が求められる
- 試験は抗菌薬、サーベイランスなど感染制御に関する幅広く出題される
- 単位取得(更新時)は日病薬が主催するセミナーや講習会を毎年最低3単位は受講する
- 病院薬学認定薬剤師の取得や別に定める学会への加入が必要なため、費用はかかる
🔶 抗菌化学療法認定薬剤師
- 抗菌薬の適正使用、TDM、DIに重点を置いた専門知識が身につく
- 医師に処方提案を行う場面で自信がつく
- 症例の質と内容が合否を分けるポイントになる
- 試験は様々な感染症における病態、治療法、抗菌薬選択について出題される
- 単位取得は学会へ参加することによって5~30単位取得できる
🧭 どちらを選ぶ?おすすめの考え方
- 感染制御チーム(ICT)の中心として活動したい方 → 感染制御認定薬剤師
- 抗菌薬の知識と処方提案能力を高めたい方 → 抗菌化学療法認定薬剤師
- AST業務に本格的に関わるなら、両資格の取得も検討しても◎
📝 筆者の所感
両資格を比較してみると、業務の方向性によって必要とされるスキルが異なることがよく分かります。感染対策全般に関わるなら日病薬の感染制御認定薬剤師、抗菌薬の使用に特化して深く関わりたいなら化療学会の認定薬剤師がおすすめです。
実際に現場では、両方を取得している薬剤師も増えており、組み合わせることでより高度な実践力を発揮できると感じています。抗菌化学療法認定薬剤師の単位取得は60単位と多いように見えますが、学会参加で30単位は集まり、学会は年3会開催されるため比較的簡単に集められると思います。
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